
住宅ローン金利の上昇を見て、「今は家を建てないほうがいいのではないか」「もう少し待てば金利が下がるかもしれない」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
特に、3,000万円、4,000万円、5,000万円と借入額が大きくなるほど、わずかな金利差でも毎月の返済額や総返済額に大きな違いが生まれます。
2026年7月31日、日本銀行は政策金利の誘導目標を1.0%程度とすることを決定しました。政策金利と住宅ローン金利は同じものではありませんが、住宅ローンを取り巻く金利環境は、以前とは明らかに変わりつつあります。
一方で、金利が上がったからといって、すべての家庭が家づくりを延期したほうがよいわけではありません。
大切なのは、将来の金利を予想することではなく、現在の金利で毎月の返済額を計算し、自分たちの家計で無理なく返していける住宅予算を把握することです。
この記事では、住宅ローン以外の借入れを含めた返済比率を28%以内にすることを一つの基準として、3,000万円・4,000万円・5,000万円を借りた場合の返済額と、家づくりを待つべき家庭、待たなくてもよい家庭の違いを解説します。
※本文中の返済額は、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なしで計算した概算です。融資手数料、保証料、団体信用生命保険の上乗せ金利などは含みません。
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住宅ローン金利が上がると、同じ金額を借りても毎月の返済額は増えます。そのため、「今は建てないほうが得なのではないか」と考えるのは自然なことです。
しかし、金利だけを見て家づくりの時期を決めると、かえって家計全体の負担を増やしてしまう可能性があります。
住宅ローンの返済額は、借入額、金利、返済期間によって決まります。
借入額と返済期間が同じでも、金利が高くなれば毎月返済額と総返済額は増えます。特に借入額が大きいほど、金利上昇の影響も大きくなります。
たとえば、3,000万円を35年返済で借りる場合、金利年1.0%なら毎月返済額は約8万5,000円です。金利年2.0%になると約9万9,000円となり、毎月約1万5,000円の差が生まれます。
5,000万円の場合は、金利年1.0%で約14万1,000円、年2.0%で約16万6,000円です。毎月の差は約2万4,000円となり、35年間の総返済額では1,000万円を超える違いになります。
金利差を小さく感じても、借入額が大きく返済期間が長い住宅ローンでは、家計への影響を軽く考えることはできません。
今後、住宅ローン金利が下がる可能性がないとは言い切れません。しかし、いつ、どの程度下がるのかを正確に予測することは困難です。
仮に2年間待って金利が下がったとしても、その間に支払う家賃や更新料があります。土地価格や建築費、住宅設備の価格が上がれば、金利が下がっても家づくりの総額は高くなるかもしれません。
現在の家賃が月8万円なら、2年間で支払う家賃は192万円です。月10万円なら240万円になります。
もちろん、家賃は現在の住まいを利用するために必要な費用なので、そのすべてが無駄になるわけではありません。ただし、金利が下がるまで待つ場合は、待っている間の住居費も含めて比較する必要があります。
家づくりを3年待てば、住宅ローンの完済年齢も基本的には3年遅くなります。
35歳で35年ローンを組めば完済時は70歳ですが、40歳で組めば75歳です。定年退職後も返済が続く計画になる場合は、繰上返済や退職後の収入まで考えなければなりません。
金利が下がるのを待った結果、返済期間を短くせざるを得なくなり、毎月返済額が増えることもあります。
家づくりを待つかどうかは、金利だけでなく、現在の年齢、家賃、子どもの成長、完済時期を含めて判断することが大切です。
住宅ローンをいくら借りられるか考えるときは、借入額だけでなく、年収に対して年間返済額がどの程度を占めるかを確認します。この割合が返済比率、または総返済負担率です。
この記事では、住宅ローン以外の返済を含めた返済比率を28%以内に収めることを、予算を考える一つの基準とします。
返済比率は、次の計算で求めます。
年間のローン返済額÷税込年収×100
たとえば、税込年収500万円で、毎月の返済額が10万円の場合、年間返済額は120万円です。
120万円÷500万円×100=24%
この場合の返済比率は24%となります。
反対に、年収から返済比率28%以内の毎月返済額を計算する場合は、次のように考えます。
税込年収×28%÷12か月
年収500万円なら、年間返済額は140万円、毎月返済額は約11万7,000円が28%の目安です。
ただし、この金額をそのまま住宅ローンの返済に使えるとは限りません。
返済比率は、住宅ローンだけで計算するものではありません。
自動車ローン、教育ローン、カードローン、クレジットカードの分割払いやリボ払いなど、住宅ローンの借入後も続く返済を含めて計算する必要があります。
フラット35でも、総返済負担率には住宅ローンだけでなく、自動車ローン、教育ローン、カードローン、商品の分割払いやリボ払いなどが含まれます。
たとえば、年収500万円で返済比率28%以内に収める場合、毎月返済額の上限目安は約11万7,000円です。
しかし、車のローンを毎月3万円返済しているなら、住宅ローンに使える金額の目安は約8万7,000円まで下がります。
住宅ローンだけを見て返済比率を計算すると、実際よりも大きな金額を借りられるように見えてしまうため注意が必要です。
フラット35では、総返済負担率の基準を年収400万円未満の場合は30%以下、400万円以上の場合は35%以下としています。ただし、これは融資を利用するための基準であり、その割合まで借りれば生活に余裕があるという意味ではありません。
住宅金融支援機構の2026年1月調査では、実際の住宅ローン利用者で最も多かった返済負担率は「15%超~20%以内」でした。利用した金利タイプは、変動型が75.0%を占めています。
同じ年収500万円の家庭でも、子どもがいない家庭と子どもが3人いる家庭では、将来必要になる教育費が異なります。
車が1台の家庭と2台必要な家庭でも、購入費、保険料、車検代、燃料費が変わります。
返済比率28%は、誰にでも当てはまる安全な数字ではありません。まず28%以内に収め、そのうえで家族構成や生活費によって25%、22%、20%と下げて考えることが重要です。
3,000万円を35年間、元利均等返済、ボーナス返済なしで借りた場合、金利年1.0%では毎月約8万5,000円、年1.5%では約9万2,000円、年2.0%では約9万9,000円となります。
金利年1.5%で計算すると、年間返済額は約110万円です。返済比率を28%以内に収めるために必要な税込年収は、住宅ローン以外の返済がなければ約394万円となります。
ただし、年収394万円あれば3,000万円を無理なく返せると断定することはできません。
住宅を取得すると、住宅ローン以外にも固定資産税、火災保険、地震保険、設備の交換費用、外壁や屋根のメンテナンス費用などが必要になります。
賃貸住宅では大家や管理会社が負担していた修繕も、持ち家では自分たちで備えなければなりません。
毎月返済額だけで判断せず、住宅ローンの返済に加えて、住まいを維持するための積立ができるかまで確認しましょう。
4,000万円を35年間で借りた場合、金利年1.0%では毎月約11万3,000円、年1.5%では約12万2,000円、年2.0%では約13万3,000円です。
金利年1.5%の場合、返済比率28%以内に収めるために必要な税込年収は、ほかに借入れがなければ約525万円となります。
共働きで世帯年収600万円、700万円を超えている家庭なら、4,000万円の住宅ローンが現実的に見えるかもしれません。
しかし、現在の世帯年収だけで判断するのは危険です。
出産や育児による休職、時短勤務、転職、病気、親の介護などによって、どちらかの収入が減る可能性があります。
共働きの収入を上限まで使って住宅ローンを組むのではなく、収入が一時的に減少しても返済を続けられるかを確認しておく必要があります。
特に、今後子どもを希望している家庭は、産休や育休の期間だけでなく、保育料、習い事、塾、進学費用が増える時期まで想定しましょう。
5,000万円を35年間で借りた場合、金利年1.0%では毎月約14万1,000円、年1.5%では約15万3,000円、年2.0%では約16万6,000円です。
金利年1.5%の場合、返済比率28%以内に収めるために必要な税込年収は、ほかに借入れがなければ約656万円となります。
ただし、車のローンが毎月3万円ある場合、年間返済額は36万円増えます。この返済も含めて28%以内に収めるには、必要年収は約785万円まで上がります。
5,000万円を借りる場合は、金利上昇による影響も大きくなります。
金利年1.0%と年2.0%を比べると、毎月返済額の差は約2万4,000円です。年間では約29万円、35年間の総返済額では約1,029万円の差になります。
審査に通ったからといって、その金額が無理なく返せる金額とは限りません。
住宅ローンを返しながら、子どもの教育費、車の買い替え、家の修繕、老後資金を準備できるかまで確認する必要があります。
返済比率が28%以内であっても、毎月の生活が苦しくなる家庭はあります。返済比率は住宅予算を考える重要な基準ですが、家計のすべてを表す数字ではないからです。
返済比率の計算に使うのは、基本的にローンの年間返済額です。
固定資産税、火災保険、地震保険、将来の修繕費などは、住宅ローンの毎月返済額とは別に準備しなければなりません。
住宅ローンを毎月12万円返せるからといって、毎月12万円まで借りてもよいとは限りません。
税金や保険、修繕積立を含めると、住まいにかかる実質的な負担は住宅ローンの返済額よりも大きくなります。
住宅ローンを組む時点では、子どもが小さく、教育費がそれほどかかっていない家庭もあります。
しかし、子どもの成長とともに、食費、衣服費、通信費、部活動費、塾代、受験費用、進学費用が増えていきます。
住宅ローンの返済期間は30年、35年と長期にわたります。
現在の家計だけでなく、支出が大きくなる10年後、15年後にも返済を続けられるかを考えることが大切です。
車が生活に欠かせない地域では、住宅ローン返済中に何度か車を買い替えることになります。
現在の車のローンが終わっていても、数年後に新たな自動車ローンを組む可能性があります。
住宅ローンを上限近くまで借りると、車の故障や買い替えが必要になったときに、家計の余裕がなくなることがあります。
住宅予算を決めるときは、現在の借入れだけでなく、今後発生する大きな支出にも備えておきましょう。
ボーナスは、会社の業績や勤務状況によって金額が変わる可能性があります。
ボーナス返済を利用すると毎月返済額を抑えられますが、ボーナスが減った場合でも返済額は変わりません。
無理のない予算を考えるなら、まずはボーナス返済なしで毎月返せる金額を確認することが大切です。
ボーナスは住宅ローン返済の前提にするのではなく、貯蓄や繰上返済、修繕費の準備に回せる余力として考えたほうが、長期的な家計を組み立てやすくなります。
金利が上がっているから待つのではなく、現在の家計や資金計画に問題がある場合は、いったん立ち止まる必要があります。
次のような家庭は、土地や住宅会社を決める前に資金計画を見直しましょう。
住宅ローンだけで返済比率28%を超える場合や、車などの返済を含めると28%を超える場合は、借入額を下げることを検討する必要があります。
建物の大きさや設備だけでなく、土地のエリア、土地面積、外構計画まで含めて総予算を調整しましょう。
頭金や諸費用を支払ったあとに、貯蓄がほとんど残らない計画にも注意が必要です。
入居後には、家具、家電、カーテン、引っ越し費用などがかかります。車の故障、病気、冠婚葬祭など、予定外の支出も発生します。
住宅ローンの借入額を減らすために貯蓄をすべて使うのではなく、入居後の生活を守るための資金を残しておきましょう。
注文住宅では、土地代と建物本体価格だけで家が完成するわけではありません。
付帯工事、地盤改良、造成、給排水工事、外構、登記、住宅ローンの手数料、火災保険など、さまざまな費用がかかります。
建物価格だけを見て住宅ローンを組むと、計画の途中で予算不足になることがあります。
家づくりの総額が分かっていない段階では、土地の購入や契約を急がないほうがよいでしょう。
変動金利を選ぶ場合は、借入時の返済額だけでなく、金利が0.5%、1.0%上がった場合も計算する必要があります。
金利が上昇したときに返済比率28%を超える計画なら、借入額を下げる、返済期間を見直す、固定金利を比較するなどの対策が必要です。
住宅ローン商品によって金利や返済額の見直し方法は異なるため、契約前に金融機関へ確認しましょう。
金利が上がっていても、現在の条件で無理なく返済できる資金計画ができているなら、必ずしも家づくりを待つ必要はありません。
将来金利が下がることだけを期待して待つよりも、現在の家計に合った住宅予算を出し、家賃や完済年齢を含めて比較することが大切です。
現在の金利だけでなく、金利が上昇した場合も返済比率28%以内に収まり、生活費や貯蓄を確保できるなら、金利上昇への対応力があります。
ただし、28%以内であることだけでなく、毎月一定額を貯蓄できるか、教育費や車の買い替え費用を準備できるかも確認しましょう。
土地、建物、付帯工事、外構、諸費用、家具、家電まで含めた家づくり総額が分かっていれば、住宅ローンの借入額を現実的に判断できます。
土地を購入してから残った予算で建物を考えるのではなく、最初に家づくり全体の予算配分を決めておくことが重要です。
住宅ローンを返済しながら、教育費、修繕費、老後資金を積み立てられる計画なら、家計の変化にも対応しやすくなります。
住宅ローンを完済することだけを目標にせず、家族が暮らしを楽しめる余裕を残すことも、住宅予算を考えるうえで欠かせません。
子どもの入園や入学、現在の住まいの狭さ、親との同居、通勤環境など、家を必要とする時期は家庭によって異なります。
家づくりを数年待つことで生活上の負担が大きくなるなら、金利だけを理由に延期することが最適とは限りません。
「金利が下がったら建てる」ではなく、「家族にとっていつ新しい住まいが必要なのか」を基準に考えましょう。
変動金利と固定金利のどちらがよいかは、将来どちらが得になるかだけでは決められません。
大切なのは、金利が変わるリスクを家計が受け入れられるかどうかです。
変動金利は、借入時点の金利が固定金利より低く設定されていることが多く、当初の毎月返済額を抑えやすい特徴があります。
一方で、返済期間中に金利が上昇する可能性があります。
貯蓄に余裕がある、借入額を抑えている、金利上昇後も返済できる、早めの繰上返済を検討できる家庭は、変動金利を選択肢に入れやすいでしょう。
固定金利は、決められた期間または返済期間中の金利が固定されます。
変動金利より借入時の金利が高い場合でも、返済額が変わらないため、将来の支出を計画しやすくなります。
教育費が増える時期と住宅ローン返済が重なる家庭や、金利上昇によって家計が苦しくなる家庭は、固定金利も含めて比較する必要があります。
変動金利と固定金利のどちらが最終的に得になるかは、今後の金利動向によって変わります。
そのため、金利予測だけで選ぶのではなく、変動金利なら金利上昇後の返済額、固定金利なら現在の返済額を計算し、家計に合うほうを選びましょう。
金利タイプを決める前に、複数の金融機関や商品を同じ条件で比較することも大切です。
住宅ローンで後悔しないためには、金融機関が貸してくれる金額から考えるのではなく、家庭が返し続けられる金額から家づくりの予算を決めます。
まずは、夫婦それぞれの税込年収を確認します。
残業代や歩合給など、毎年金額が変わる収入をすべて前提にすると、収入が減った年に返済が苦しくなる可能性があります。
継続性の高い収入を中心に考えましょう。
税込年収に28%を掛け、12か月で割ると、年間返済額と毎月返済額の目安を計算できます。
ただし、この段階で出た金額を、そのまま住宅ローンに使わないようにします。
車、教育ローン、カードローン、分割払いなど、借入後も続く返済額を差し引きます。
数年後に完済するローンであっても、住宅ローンを組んだ直後の家計には影響します。
現在の借入残高、毎月返済額、完済時期を整理しましょう。
変動金利を検討する場合は、現在の金利だけでなく、金利が0.5%、1.0%上がった場合の返済額も確認します。
金利上昇後に返済比率28%を超える場合は、借入額を減らすか、住宅計画全体を見直す必要があります。
最後に、住宅ローンで用意できる総額を、土地、建物、付帯工事、外構、諸費用へ配分します。
土地に予算を使い過ぎると、希望する建物が建てられなくなったり、外構や設備を大幅に削ったりすることになります。
土地を探す前に、建物を含めた総予算を決めることが重要です。
住宅ローン金利が上がった今、家づくりを待つべきかどうかは、金利だけでは判断できません。
3,000万円、4,000万円、5,000万円のどの金額を借りる場合でも、現在の金利で返済額を計算し、住宅ローン以外の借入れを含めた返済比率を28%以内に収めることが第一歩です。
そのうえで、固定資産税、保険、修繕費、教育費、車の買い替え、老後資金まで含めて、生活に余裕を残せるかを確認します。
銀行の事前審査に通る金額と、家族が無理なく返し続けられる金額は同じとは限りません。
また、住宅ローンの借入可能額が分かっても、そのうち土地や建物にいくら使えるかは、家づくり全体の費用を整理しなければ判断できません。
金利が下がるのを待つ前に、まずは現在の年収、借入れ、家賃、貯蓄、家族構成をもとに、自分たちの適正な住宅予算を計算してみましょう。
今建てても問題がないのか、借入額を下げるべきなのか、数年間待ったほうがよいのかが、具体的な数字で見えてきます。
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