住宅ローンの融資を受ける時、「返済期間」を決め、金融機関と契約をします。その返済期間は最長で35年(金融機関によっては50年)です。返済には、融資を受けた金額「元金」に金利を上乗せし、毎月返済していきます。金利は流動しているため、現在の金利が、金融機関と契約した時の金利条件よりも下がっており、そのため現在の契約条件よりもメリットが出ると判断した場合、「住宅ローンを他の金融機関で借り換える」という方法があります。今回の記事では、住宅ローンの借り換えをする時の注意するポイントについてお伝えします。
例えば現在の住宅ローンの金利が3%とします。契約中の金融機関や他の金融機関の金利を見ると、おおよそ1%になっているとします。新築して金融機関と契約を交わした日から金利は2%ほど下がっていることになります。毎月の返済は、融資を受けた金額「元金」に金利分を上乗せして返済しているため、金利を2%下げることができれば、その分、返済金額が下がることになります。その金利を下げる方法として「借り換え」という方法があります。借り換えとは、新たな金融機関から住宅ローン融資を受け、現在契約中の住宅ローンを一括返済することです。
借り換えには2つの方法があります。
・新たな金融機関で契約をする
・現在契約中の金融機関で条件変更をする
これは先ほどお伝えしました方法です。現在契約中の住宅ローンの残債分を新たな金融機関から融資を受け、一括返済をする方法です。ここで注意して頂きたいポイントがあります。
借り換えは、現在契約中の金融機関の住宅ローンを新たな金融機関からの融資で一括返済することになりますが、現在契約中の住宅ローンには「全額繰り上げ返済をする時の告知義務」があり、金融機関と契約を交わした書類に記載されております。その告知とは「一括返済をする場合は、〇〇日前に金融機関に伝えること」ということが記載されています。この規約を知らずに借り換えを進めてしまうと、新たな金融機関とのやりとりがスムーズに行かなくなります。
新たな金融機関から住宅ローンの融資を受けるためには、融資をしてもらう金額と現在の住宅ローンの残債が一致していることを証明する必要があります。その証明をするために「返済予定表」が必要になります。これは新たな金融機関の事前審査を通過し、融資を受けるタイミングを決め、現在の金融機関に一括返済をする日程に合わせた返済予定表を現在契約中の金融機関に作成してもらう必要があります。
新たな金融機関の事前審査・本審査を通過し、融資を受けるためには、現在の住宅ローンを一括返済したことを証明する「完済証明書」と、抵当権を解除した「解除証明書」をもらえる日について、新たな金融機関に通知する必要があります。
完済証明書とは、住宅ローンを完済したことを記した証明書です。新たな金融機関から融資を受け、現在の住宅ローンを完済しますが、その完済した証明をする書類を「完済証明書」と言います。
解除証明書とは、住宅ローンを完済し、現在の金融機関の抵当権を解除した証明書のことを指します。抵当権とは、仮に住宅ローンの返済ができなくなってしまった場合、土地と建物を差し出す制度です。現在契約中の住宅ローンについて、「抵当権」が設定されており、土地と建物の登記簿謄本に、融資を受けた金融機関名や金利、返済期間などが記載されていますので、現在契約中の金融機関との抵当権を解除し、新たな金融機関の抵当権を設定するために解除証明書が必要になります。
新たな金融機関との審査、返済予定表、融資金額を決定、完済証明書と解除証明書をもらえる日程、融資実行日の確定など、借り換えは、新たな金融機関と現在契約中の金融機関とのスケジュール調整がとても重要となります。スムーズに借り換えを行えるように、双方の進行スケジュールを確認しながら進めていきましょう。
新たな金融機関と契約をする借り換え以外に、現在契約中の金融機関との住宅ローンを条件変更するという方法もあります。金融機関からすると、返済額に含まれている利息が金融機関の利益になりますので、毎月遅延することなく返済をしてくれるとても優良なお客様を手放したくはありません。そのため「条件変更」という手続きを行う場合があります。
現在契約中の住宅ローンは、建築前に審査を通過し、その時の金融機関から提示された条件で契約をしています。条件変更とは、住宅ローンを再審査することで、現在の金利に変更することを指します。
借り換えを検討せずに契約中の金融機関に相談に行ったとしても、条件変更の再審査をしてくれるかどうかは可能性が低いと考えてください。あくまで「他の金融機関で審査を通過していて、借り換えを検討している」という条件を元に、現在契約中の金融機関が条件を一致させることができるからこそ再審査を勧めてきます。そして再審査に関しましても必ず勧めてくる訳ではではありませんので、方法の一つとして考えてください。
借り換え、もしくは条件変更は、新たに住宅ローンの契約をしますので諸費用が必要になります。諸費用は契約印紙代、事務手数料、保証料などが必要になります(ネット銀行の場合は事務手数料が無い場合があります)その他にも、抵当権の解除費用、そして新たに抵当権を設定する費用も必要になります。これらを把握し、総合的に見てメリットになる場合は、借り換え、もしくは条件変更を勧めていきましょう。
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